共同親権の導入が進められた理由の一つは、海外で既に採用されている国の数が多いこと。制度の問題点が指摘された国もある。約30年前、共同親権に近い制度が始まったオーストラリアでは、共同での養育が強く推奨されてきた。夫から暴言など精神的虐待を受けたことで10年前に離婚した女性は、単独での養育を希望していたが、法律が共同での養育について定め、裁判所もそれに従う傾向があったという。子供たちも母親への虐待を見てきたことで精神的に不安定になり、不安症と診断された。医師らからカウンセリングを受けさせるようすすめられたが、父親の同意が必要となる。オーストラリアには子供の養育に関して意見が対立した場合、政府が委託した民間の支援センターが支援するが、女性は「ほとんど何もしてくれない。資金不足」と語った。去年オーストラリア政府は、養育をめぐる裁判の乱用や長期化から子供を守るため、それまでの方針を転換し、共同での養育にこだわらないとする法改正を行った。日本で共同親権が新たに導入されることについて女性は「とても胸が痛い」と明かした。