世界最大の自動車市場、中国で急速に進むEV(電気自動車)シフト。毎年販売台数が伸びている一方で、市場では大きな問題が起きていた。中国国内では需要を超えた過剰生産により値下げ競争が激化。これにより業界全体が消耗していく「内巻」と呼ばれる現象に陥り、収益が年々悪化しているという。2018年に立ち上げられたEVメーカー「ナタ」。一時は新興EV大手5社の中でトップを誇っていた。しかし去年秋ごろから激しい価格競争などにより給料は未払いとなり、工場もストップ。今年6月には破産手続きに入った。中国メディアによると、ナタのように経営が行き詰まった企業をはじめ合併を余儀なくされた企業など、10年前には約400社あったEVメーカーは現在40社程度に。今後5年の間には5社~7社になるという予測もあり、淘汰の大波が押し寄せている。“内巻”の影響は中古車市場でも。北京の中古車業者が「少し前に買い取ったBYDの『元』も新車価格は14万元でしたが中古車市場ではいきなり7万元です」などと話した。消耗戦を抜け出す産業構造の見直しが求められているのかもしれない。
