南アフリカでは先月29日に投票が行われた総選挙の開票作業が進められていて、選挙管理委員会は1日の時点でほとんどの開票所で作業が終了したとしている。これまでの集計結果では与党・ANC(アフリカ民族会議)の得票率がおよそ40%と前回から大幅に落ち込み、下院にあたる国民議会で初めて過半数を割り込むことが確実な情勢となっている。ANCはかつて、アパルトヘイト撤廃運動を主導しネルソンマンデラ氏が黒人初の大統領となって以降30年にわたって政権を担ってきた。しかし汚職のまん延や経済の低迷、それに治安の悪化などへの国民の批判が高まっていた。一方でANCは第1党の座は維持すると見られ今後、ANCを中心に連立政権の樹立に向けた交渉が行われる見通し。連立政権を構成しうる有力な野党の中には、欧米寄りで白人中心の政党や白人の土地を国が無償で収用すべきだなどと主張する急進的な政党もあり、南アフリカの政治は大きな転換点を迎える可能性がある。