中東情勢の緊張が続く中、高市総理大臣は今月1日から5日までベトナムとオーストラリアを訪問し、首脳会談を行った。一連の日程でエネルギーの安定供給や安全保障分野での協力の強化などを確認したが、こうした2国間の外交を担うのは政府だけではない。中東情勢を背景に自民党の国会議員団が高市総理の外交の裏で東南アジアを訪問し、日本が強みを持つある技術を売り込んでいた。議員外交の最前線に密着した。先週、ヒィリピンのバタンガス州に防火服で現れたのは自民党の岸田元総理大臣。羽生田幹事長代行ら議員団とフィリピンを訪問した。一行が向かった先は船の中。この船、東京ガスが現地企業と共同運営するLNG=液化天然ガスを受け入れる浮体式基地。フィリピンではいま、新たなLNG活用の取り組みが進んでいる。この基地では輸入してきたLNGを気体にもどし、陸上の発電所に送っている。船の上に基地を置くことで陸上基地に比べて用地の取得や工事コストがかからず、短期間かつ低コストで設置できるほか、需要の変動に応じて移設できるため、需要の見通しが不確実な場合にも対応しやすいというメリットがある。この事業を担当する東京ガスの山田善久さん。議員団のこのプロジェクトの意義を説明した。東京ガスは2018年に現地企業と共同開発契約を締結したのち、去年2月、現地企業の株式20%を取得して事業に参画した。フィリピンではいま中東情勢の緊迫化を受けて日本の脱炭素技術への期待が高まっている。特に石油備蓄が乏しいフィリピンではガソリン価格が高騰。今年2月から3月にかけては約1.5倍に上昇し、ヒィリピン政府は国家エネルギー非常事態を宣言した。省エネ対策を強化するとともに海外からのエネルギー資源の確保や原油依存の脱却に向けた技術開発に力を入れた。こうした状況の中、フィリピンのマルコス大統領と面会した岸田元総理。高市総理から預かった新書を手渡し、先月、日本がASEAN諸国に対して打ち出した総額約1兆5000億円の緊急金融支援や「石油の共同備蓄」などアジア地域の中長期的なエネルギー強靭化に向けた方策をマルコス大統領に提案した。マルコス大統領は「化石燃料から再生エネルギーに移行していくための努力についても一緒にできることをしていきた」と応じた。その後、岸田元総理はフィリピンのガリンエネルギー大臣とも会談。フィリピンの脱炭素への移行には東京ガスなど日本企業の技術を活用することを促した。
