日本からおよそ3200キロ離れた太平洋の島国パラオで去年ある写真が見つかった。持ち主は太平洋戦争中に現地で亡くなった栃木県出身者と見られる。持ち主の特定に取り組む男性を取材した。写真は和服姿の女性を映していて、金属製のタバコケースの内側に貼られていたものがおよそ80年の時を経て発見された。写真を発見した千葉県に住む考古学者の山岸良二さん。彼は太平洋の島国パラオで厚生労働省の委託を受けて行われている旧日本軍の遺骨収集活動に参加している。写真が見つかったのはパラオにあるアンガウル島。今から80年前、旧日本軍と米軍との激しい戦闘が行われた。この戦闘には主に栃木県出身者で組織された歩兵第59連隊が参加。およそ1200人のほとんどが命を落としたとされる。山岸さんが取り組むのがこの59連隊の遺骨収集。おととしから年に5回ほどアンガウル島に赴き現地の人たちと遺骨の発掘を行う中である遺骨の胸元から女性の写真が見つかった。写真をきっかけに遺骨の身元を特定できないか山岸さんは手がかりを求めて調査を行っている。山岸さんは見つかった問題のタバコの写真ケースを栃木県内の戦争や歴史に詳しい専門家に見てもらった。また山岸さんは59連隊に関する情報を求め陸上自衛隊の駐屯地にも調査にいった。駐屯地には59連隊に関する資料や現地で見つかった遺品などが展示されている。昭和19年、アンガウル島で戦闘が始まる数か月前に作られたと見られる。この日は、身元の特定には至らなかったが今後につながる調査となった。山岸さんは写真の女性が特定できれば遺骨の身元が分かる可能性があるとして1人でも多くの人に写真を見てもらいたいと話している。