陸上の伊藤智也選手は日本選手団最年長の61歳。パラリンピックで5つのメダルを獲得してきた、まさに車いすの鉄人。きょう未明に決勝が行われた男子400mでは見事、銅メダルを獲得。苦しみと向き合った末にたどりついた表彰台だった。地獄の3年間の始まりは前回の東京大会だった。地元開催に合わせて現役復帰したが予選敗退。敗因はパラスポーツならではの独特のルール。伊藤が翻弄されたクラス分け。障害の種類や程度の異なる選手たちが公平に競い合うための仕組み。伊藤の種目は障害の程度によってT51からT54にクラス分けされる。東京大会では従来のクラスではなく、より障害が軽いT53と判定され苦戦を強いられた。失意の大会のあと還暦も近づき競技を諦めることも考えたという伊藤選手。それでも自分の姿で周りを元気づけたいと強い覚悟でパリの舞台を目指した。なんとかパリを目指しみずからを鍛え抜くことで60代に入ってからも成長が見られた。筋力トレーニングを続けて胸囲がおよそ4cm大きくなり、力強いこぎにつながった。そして従来のクラスでの出場が認められたパリ大会。最後まで粘って銅メダルを獲得した。