岡山・真庭市の北部にある蒜山地区は、遠い昔大きな湖だったところが干上がってできた。今も山に降った雨が集まりやすく、里の至る所で水が作る風景がみられる。その1つが湧き水。湖の底にあたる地層からは絶え間なく水が沸いている。こんな泉があちこちにある。家々の間を流れる小川は使い川と呼ばれ農具や野菜などを洗うのに利用されてきた。女性たちはヒメガマの茎を洗っていた。泥を洗い流したあと、天日で2ヶ月ほど乾燥させる。冬が来て農作業ができなくなる頃、籠を作るという。蒜山では650年ほど前からガマを刈り、籠などの道具を作る暮らしが続いてきた。この刈取りは美しい里山の風景を保つことにも繋がっている。湿地帯にやってくるオオルリボシヤンマは大きさは8cmほどで体に瑠璃色の斑点がやってくる。オオルリボシヤンマにとってこの湿地帯は産卵場所になっている。蒜山は西日本有数の降雪地帯。冬の小川には渡り鳥のカワアイサやセグロセキレイがやって来る。1月、ガマの籠作りが本格的に始まった。ガマは油分を含んでいるので雨にも強く丈夫。オーガニックな風合いもあると若い人たちからも人気となっている。
