旧正月を迎え、華やかさを増す香港の街角で、一際賑わうお店。客の目当ては蛇のスープ。中国では2000年前から食べられていたという。中でも蛇スープは冬の伝統料理として香港で親しまれてきた。創業60年の店を切り盛りする周嘉玲さん。創業者の父親の下で、子供の頃から蛇の扱い方を学んだ。スープには5種類の蛇を使う。肉は高タンパクでヘルシーな上、様々な効能があるという。しいたけ・きくらげ・しょうがなども加え、とろみをつけて完成。多い日には1日700杯売れるという。しかし、今に至るまでには多くの困難があった。30代の時に父親が突然他界。蛇の仕入れ方も分からないまま店を継ぐことに。2003年に新型肺炎「SARS」が流行した際には”蛇が感染源”という噂が広がり、客足が激減。さらに近年は若い世代を中心に蛇を食べる習慣が薄れ、蛇スープの店は全盛期の5分の1程になったと言われている。危機感を抱いた周さんは様々な蛇料理を考案している。さらに家庭でも食べられるよう蛇スープのレトルト食品も開発。香港伝統の食文化を守る挑戦が続いている。