南極が間近に迫るパタゴニアの岩山では風速20mを超える暴風が吹き荒れる。そこで生態系の頂点に立つのがピューマ。その視線の先で、ラクダの仲間にあたるグアナコは雪が積もりにくい斜面で僅かな草を探していた。肉食動物のピューマと言えども、体格で上回り、群れで身を守るグアナコは容易な相手ではない。束の間の夏季、グアナコは出産の時期を迎えていた。生まれた子は短期間で過酷な冬を乗り切る体力をつかなければならないという。そして、次の夏に出産するため、グアナコは子育てを同時並行で進めている。オスはメスをめぐってし烈な争いを繰り広げ、胃液が混じったツバを相手に吹きかけては戦意を奪う。騒ぎに乗じて密かに忍び寄っていたのがピューマで、グアナコを仕留めた。