ヨーロッパ最大の自動車メーカー・フォルクスワーゲンで大規模なストライキが行われ、ドイツ経済への影響が懸念されている。二村伸専門解説委員が「2日行われた6年ぶりの大規模ストライキは、ドイツ全土で10万人近くが参加した。創業以来初めての工場閉鎖と数万人の従業員削減、一律10%の給与カットを打ち出した経営側に圧力をかけ、譲歩を引き出すための警告的な意味合いが強い時限ストライキだったが、労組側は9日に予定されている次回の労使交渉が決裂すればより厳しい対応を取るとしており、無期限ストライキに突入する可能性もある。1930年代、ヒットラーの肝入りで生産が始まった車はその名の通り大衆の乗り物として人気を呼び、会社はトヨタと並ぶ世界最大級のメーカーに成長した。しかしコロナ禍以降の景気後退でヨーロッパでの需要が落ち込み、エネルギー価格の上昇に伴う製造コストの高騰、電気自動車の販売不振、それに主要な市場である中国での競争激化によって財務状況が悪化した。ドイツではBMWやメルセデスベンツも業績見通しを下方修正した。自動車の販売不振は部品メーカーも直撃し、世界最大手のボッシュをはじめ、多くのメーカーが相次いで人員削減を打ち出している。景気の落ち込みに加え、ドイツでは連立政権が崩壊して総選挙を前倒しして行うことになり、政治の不透明感も増している。EUを牽引してきたドイツの経済にブレーキがかかり、ヨーロッパ全土に暗い影を落としている」とスタジオで述べた。