リチウムなどの鉱物資源の確保を巡ってアメリカと中国が対抗する中、中国の李強首相は鉱物資源が豊富なオーストラリアの西部を視察し、経済分野での協力関係を強化する考えを示した。中国としてはオーストラリアとの関係を改善することで、オーストラリアの同盟国アメリカをけん制する狙いがあるとみられる。李首相の訪問最終日、話題の中心は重要鉱物とグリーンエネルギーだった。中国が圧倒的な供給シェアを握る重要鉱物について米国が対抗しようとする中、中国もこの2つの分野に対する支配を強めている。州都パースのある西オーストラリア州は海底から掘削される鉄鉱石を輸出し、そのシェアは世界市場の50%以上、一番の顧客が中国。世界第4位の鉄鉱石生産会社フォーテスキューのグリーンエネルギー研究設備を視察した李首相は、二酸化炭素を排出せずに鉄鉱石を製造する技術に関心を示し、その後電気自動車向けリチウムイオン電池を製造する天斉リチウムエナジーオーストラリアの水酸化リチウム処理工場も視察した。その後、オーストラリアのアルバニージー首相とともに中国、オーストラリアCEO(最高経営責任者)円卓会議に出席した李首相は、各企業の代表を前に中国は改革を、さらに進め組織の開放を拡大すると語り、経済貿易関係は包括的な戦略的パートナーシップの文脈の中に置かれるべきであると強調した。両国は、自由貿易協定のさらなる実施を目指す覚書合意に調印し、西オーストラリア州のクック州首相は直行便の就航やエネルギー転換での協力計画を発表した。