先週のスーパーGT第3戦。レースの前日、笑顔を見せる1人のドライバーがいた。現在スーパーGTで走る唯一の日本人女性ドライバー小山美姫、26歳。ヨーロッパで女性限定の国際レースに参戦。国際自動車連盟公認の男女混合のフォーミュラカー選手権で史上初の女性チャンピオン。そしてスーパーGTの決勝に出走した初の日本人女性ドライバー。国内の女性レーサーのトップランナーとしてこの世界で戦ってきた。さらに上を目指すために今シーズン小山美姫が求めたのはもっと走ること。スーパー耐久の最高峰クラスST−Xクラスにもレギュラー参戦するチャンスを得ると開幕戦ではチームの3位表彰台入りに貢献。5月24日第2戦の24時間レースにも彼女の姿が。1回目の走行ではペースの不安定さを金曽裕人監督に指摘されるが深夜に再び走行のチャンスがめぐってくると、夜、そして雨の中の走行だったが1回目より安定したタイムを出してみせた。今シーズンはさらに海外のレースにも挑戦中。毎週のようにレースを走りそこで新たな課題を見つけていく日々。1週間後のスーパーGT。その充実感が彼女の表情に表れていた。そしてそれは走りにも表れる。今回初めて1周のベストタイムを競う予選でステアリングを任された小山。たたき出したのはチームが1回目に出したタイムより2秒以上速いタイム。マシンの速さを引き出してみせた。さらに決勝でも、自身初のスタートドライバーを務め、また新たな経験を積み重ねた。今はただ前を見て走ってひたむきにレースと向き合う。