インボイス制度は2016年に軽減税率制度と合わせて導入が決定した。施行までに7年を要したが制度の難解さなどもあって、認知や理解が進まず、今でも混乱が続く。事業者側に着目すると、課税事業者登録をするか、免税事業者のままでいるかの決断をし、納税負担、自身の事業状況を考慮する必要がある。免税事業者が課税事業者に転換すると、新たな納税負担は10％ではなく、小規模事業者向けの負担軽減措置を受けられる。納税負担を避けたいから免税事業者のままでいるとすると、インボイスを発行できない売り手事業者について、買い手から取引を敬遠される可能性がある。なお、相手が免税事業者だからと、消費税相当額を値下げする行為は下請法違反になるおそれがある。また、インボイス制度のスタート前、取引先の免税事業者に値下げを要求するなどしたとみられる18の事業者に対し、公正取引委員会は独禁法違反につながるおそれがあると注意を行った。インボイス制度のしわ寄せでフリーランス、小規模事業者が買い叩かれたり、仕事を失ったりすることを防ぐため、法令違反に対する厳正な対処、免税事業者が課税転換した場合の価格転嫁のサポートが政府に求められている。