米国のトランプ次期大統領の新政権の姿が見えてきた。重要ポストの財務長官に起用されたのは金融界で最もトランプ氏を支持する人物の1人として伝えられるヘッジファンドの創業者でCEOのスコット・ベッセント氏。イェール大学を卒業後、日本でもよく知られた投資家ジョージ・ソロス氏が率いるファンドに入社した。英国の通貨ポンドに大量の売り注文を仕掛けるなどヘッジファンドの歴史でもっとも利益を上げた取引に関わったとされている。主要ポストの多くを固めたトランプ次期大統領。首席補佐官のほか、外交を担う国務長官や国防長官など連邦政府の15の省を率いる閣僚のうち14のポストも決めた。また実業家のイーロン・マスク氏を政府支出の削減策を検討する組織を率いるポストに充てるなど、自身の主張を支持していることが明確なメンバーを起用している。しかし人事を巡っては混乱も。司法長官にはトランプ氏を強く支持するマット・ゲーツ前下院議員の起用が発表されていたが、未成年の女性に金銭を支払って性的な関係を持った疑いなどで起用が問題視される中、辞退を表明。代わりに南部フロリダ州の前司法長官パム・ボンディ氏の起用が発表された。また、国防長官への起用が発表された保守系テレビ局の司会者ピート・ヘグセス氏。過去に女性から性的暴行を訴えられ警察の捜査を受けたことがある。訴追はされていないが懸念の声が出ている。さらに厚生長官への起用が発表されたロバート・ケネディ・ジュニア氏。科学的根拠を欠くとされる情報を基にワクチンの安全性に疑問を呈してきたワクチン懐疑派として知られていることなどから資質を疑問視する人がいる。新政権の顔ぶれから見える特徴の一つが中国への強硬路線。ホワイトハウスの国家安全保障会議を束ねる大統領補佐官に起用されるマイク・ウォルツ氏。陸軍の特殊部隊グリーンベレーの一員として中東などに派遣されたことがある元軍人で、中国軍に対抗するため米国海軍の艦船や装備を増強すべきと訴えている。また、外交を担う国務長官には中国の人権状況を厳しく非難するなど中国に強硬な姿勢で知られるマルコ・ルビオ氏が起用される。自身の主張を明確に支持するメンバーを選んだトランプ氏。選挙での公約を推し進める姿勢を鮮明にしている。