第1子が生まれた前後での男女の所得の変化を表しているグラフ。男性はほとんど変化が見られない一方、女性はおよそ6割減少し、その後もほとんど回復していないことが分かる。こうした働く人が子どもを持ったことを機に所得が減少したり、キャリアが失われたりするなど経済的、社会的に不利になる現象はチャイルドペナルティーと呼ばれている。危機的な状況にある国内の少子化の要因にもなっているとも指摘されている。その実態を取材した。都内のハローワークで開かれた子育て中の女性向けの就職支援セミナー。参加者からはキャリアと育児の両立の難しさを訴える声が聞かれた。チャイルドペナルティーの影響が女性に偏るのはなぜなのか。仙台市在住の横井曜子さん。夫婦は共働き。2人の子どもがいる。横井さんは第1子出産後にチャイルドペナルティーを経験した。製薬会社に勤め10年以上のキャリアを積んでいた横井さん。育休から復帰し短時間勤務で働くようになるとこれまでにない低い人事評価を付けられた。理由の1つが長時間労働ができないことだった。さらに上司から告げられたのはこのままの評価が続けば降格の可能性があるとのことばだった。フルタイムで働くことも考えたが、夫の出張や残業が壁となった。また長女が1歳になった直後、夫は単身赴任に。育児の負担が横井さん1人にのしかかった。限界を感じ、転職をした横井さん。子どもは3人欲しいと思っていたが、難しいと考えるようになった。専門家は企業が依然として長時間労働や転勤などを求めていることが女性にチャイルドペナルティーが偏る要因となっていると指摘する。
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