美術解剖学者の加藤さんは骨や筋肉などを学び、表現役立てる仕事をしている。傑作と言われる人物画や彫刻を解剖学の視点で徹底的に分析した。するとミケランジェロもロダンも、人間の筋肉や骨の構造を正確に把握し、生き生きとした作品を生み出していることがわかった。ダ・ヴィンチも解剖によって人体の構造を理解して描いていたのではないか。「聖アンナと聖母子の微笑み」について加藤さんは、ほうれい線がひきあがっていて、筋肉の収縮を感じるという。イエスを見つめるマリアの姿を慈愛を込めて見守るアンナ。二人の表情には大頬骨筋の動きが見事に描かれる。「岩窟の聖母」には戯れる天使の表情はなにか大切なことを語ろうと、口の筋肉を緩めた。「洗礼者聖ヨハネ」という作品はダ・ヴィンチが晩年まで描いていたとされ、蠱惑的な笑みを浮かべている。「女性の肖像」の表情筋は筋肉が収縮し、笑っていることがわかりにくいと加藤さんは答えた。
