先月、小須田選手は山本さんと一緒に群馬県のスキー場を訪れていた。小須田選手のスノーボード競技歴は7年。ずっと山本さんの背中を追い続けてきた。山本さんが現役を引退した今もことあるごとに教えを受けている。13年前、交通事故で右足を失った小須田選手。山本さんと出会ったのは事故から3年後に参加した競技用義足の体験会だった。講師として参加していた山本さんの走る姿に衝撃を受けた。陸上とスノーボードを始め、山本さんと練習を共にするようになった。目の当たりにしたのが山本さんの挑み続ける姿勢だった。自分も山本さんのように全力で挑もうと急成長を遂げた。陸上では東京パラリンピックに出場。その半年後にはスノーボードで北京大会に。ミラノコルティナ大会では山本さんもなし得なかった金メダルに挑む決意だ。今取り組んでいるのはつま先側で回るフロントサイドターンの強化。今シーズンはこのターンでバランスを崩し失速する場面が目立った。健常者のトップ選手でも苦戦するというターン。義足を操って行うのは至難の業。トレーナーと取り組んでいるのはターンの時の姿勢の見直し。山本さんから教えてもらった全力で挑む大切さを今度は自分がパラリンピックで活躍することで誰かに伝えたいと考えている。