10月中旬、ラオスの首都ビエンチャンで協力隊60周年を祝うイベントが開かれていた。輪の中にいたのは川口泰広さん。長年化学メーカーに務め、工場排水の管理を行っていた。培った経験を携え貢献しようとしていた。この日川口さんはラオス南部に飲水の調査にやって来た。住民約2500人の村がその対象である。伝統的な高床式住居に大家族で暮らしている。農村部の平均月収は1~2万円である。初めての村でまずは挨拶と調査の目的を伝えた。見えてきたのは立派な井戸で日本の無償資金協力で設置されたものであった。地下50メートルから汲み上げた水だがこの多きさの井戸は村に2つしかない。ラオスの水道普及率は約25%で4人に1人しか使えない。メコン川にかかるパクセー橋も日本の無償資金協力で建設した橋である。川沿いに広がるのが人口約10万人のパクセー市。ラオス第3の町の水道を担う浄水場が川口さんの派遣先である。1973年にフランスの援助で建設され、2003年からは日本が技術支援している。母なる川であるメコン川の水を汲み上げて浄水処理していた。川口さんの日課の1つが水のサンプリングである。市内では水道の普及が進む一方で施設の老朽化もあり、汚れがなかなか取れない。そこで水の汚れを取る薬剤をどの程度投入するか日々の細かい調整が必要となる。実際に作業するのはラオス人の職員でスポイドで薬剤の量を測るが川口さんは不安げであった。繰り返し教えても同じような失敗をする職員が多いのである。
