19万人が暮らす熊谷市で2018年7月に記録された41.1℃は今も日本の最高気温である。その暑さを全国にアピールしたのは百貨店の前にある大きな温度計である。これが目当てで熊谷にやってくる人もいて温度計は街の顔になっている。熊谷の暑さは秩父山地から熱い風が吹き降りるフェーン現象のためである。さらに東京をはじめ、首都圏のヒートアイランの熱も押し寄せているという。温度計のある百貨店は地元の人たちに愛され128年となる。売り場の奥の奥には温度計の主・宮地豊さんがいた。宮地豊さんは設置されてから18年管理をずっと任されていて、毎日2回気象台の発表を確認している。2007年以来、ずっと変わらず手作業となっていた。6年前、日本最高気温のときは急遽手書きで対応した。温度計の表示は40℃までしかなかったからであるという。温度計のアイデアは宮地さんと街の商店主が知恵を出し合い生まれた。温度計を作ったその年は「猛暑日」が流行語となり、表彰式に呼ばれることとなった。