カンヌ国際映画祭が開催。最高賞のパルムドールを争うコンペに日本から唯一エントリーされているのが早川千絵監督の「ルノワール」。17日に行われた公式上映では約6分間のスタンディングオベーションを受けた。「ルノワール」は仕事に追われる母親とガンで闘病する父親を持つ小学生の女の子の物語。早川監督自身の父親もがんを患っており、当時の記憶を映画に取り込んだという。監督が描きたかったのは自身の父親のことではなく、幼い子供の心の揺れ動き。子どもの目線から見た大人の姿が繰り返し描かれている。早川監督は「子どもの頃は親が完全な存在、完璧な大人だとなんとなく思っている。それがそうではない。だめなところもあれば弱いところも格好悪いところもあるとわかってきて、そこが分かってちょっと心が痛くなるときにちょっと自分が大人になってこれが大人になるということなのかと感じていた」と語った。主演の鈴木唯は監督の期待を大きく上回る演技を披露。鈴木は「せりふや動きに指定はあるけど狭い範囲内で感情とか思いとか基本的に全部自分でやっていた」と明かした。早川監督は「大人は忘れていた子供時代の記憶・感覚を思い出すような映画になったらいいと思う」と話した。