今日から新橋演舞場で始まった新作歌舞伎。その演目は漫画家・モンキー・パンチの代表作「ルパン三世」。安土桃山時代が舞台のオリジナルストーリー。ルパン三世を演じるのは片岡愛之助さん、銭形警部を市川中車さん、石川五エ門は尾上松也さん。アニメ・漫画などの人気作を次々と歌舞伎化し、伝統にとらわれず新たな試みを続ける歌舞伎界。今回、一際喝采を浴びたのが中村獅童さんの長男・陽喜くん（5）と”初お目見得”弟・夏幹くん（3）。夏幹くん初お目見得の前に行われた記者会見で獅童さんは「（夏幹は）生まれながらに両手の小指が欠損している状態。障害者・ハンディキャップいろんな言い方があると思うが、海外では”チャレンジド”という言い方があるそうで”チャレンジド”ってすごくかっこいいなって思うんです。前を見つめてチャレンジしていく精神。同じような境遇の方たちに”勇気を与えるような存在”になってくれればうれしい」と明かした。獅童さんは今後の息子の役者人生に期待を寄せ「彼（夏幹くん）は彼にしか分からない悲しみということを味わうのかもしれない。でも役者にとっては最大の武器。人の気持ちや悲しみが分からないと人情物なんかできないですし、そういった意味では強力なライバルが現れた」と語った。そんな夏幹くんが挑む初舞台は超歌舞伎。伝統文化「歌舞伎」×最先端「デジタル技術」が融合した公演でスクリーンに投影されたCGキャラクターと役者が舞台上で共演するのが大きな特徴。”伝統芸能の最前線”を取材してきた九龍ジョーさんは「中村獅童さんがお客さんを煽ったり”ライブハウス”みたいな感じで、その一体感というのはもしかしたら”江戸時代の舞台小屋”とか、時代を超えてそれを体感できる”数少ない歌舞伎公演”じゃないか」と話す。そして一昨日幕を開けた超歌舞伎「今昔饗宴千本桜」。獅童さんが客を煽って盛り上げる。客も”大向こう”と呼ばれる掛け声で舞台上の役者を応援。そして歌舞伎座の盛り上がりが最高潮を迎えた時、兄・陽喜くんと並び夏幹くん”初お目見得”。万雷の拍手を浴びながら無事大役をやり遂げた。公演終了後、獅童さんのSNSには緊張感から解き放たれた兄弟2人の姿が。2人の”歌舞伎の道”は始まったばかり。