3日間の予定でアメリカを訪問するフィリピンのマルコス大統領はすでに現地入りしている。アメリカと経済および安全保障の関係を深めることが目的の訪米だが、二期目のトランプ政権でホワイトハウスを訪れる東南アジアの首脳はマルコス大統領が初。マルコス大統領が目指すのはまず関税の引き下げだが、それ以外にも安全保障についても国防長官・国務長官と協議したい考え。アメリカは関税引き下げの見返りとして他の分野でフィリピンに何らかの譲歩を求めてくる可能性がある。マルコス大統領は訪米に先立ち、「協議は防衛や安全保障はもちろん貿易にも焦点を当てたものになると思う」と語った。アメリカにとってインド太平洋地域の防衛や安全保障は不可欠のもの。南シナ海の安全保障はアメリカとフィリピンのどちらにとっても懸念事項。マルコス政権がそれまでの政権方針から転向し、アメリカに積極的に接近していることや、南シナ海で海洋進出を図る中国に対しフィリピンが懸念を抱いている。一方、アメリカにとってもフィリピンは近年、アメリカ軍が使用できる吉を増やしており、トランプ大統領はさらに期待している可能性もある。マルコス大統領のホワイトハウス訪問はアメリカとフィリピンの関係の重要性を中国に伝える意味があるだけではなく、「アメリカは中国の海洋進出を阻止するために一緒に行動するパートナーがここにいる」というアピールでもある。