アメリカ・ワシントンに拠点を置く投資コンサルタントの齋藤ジン氏。去年12月に発売された初の著書「世界秩序が変わるとき」が7万部を超えるベストセラーとなっている。齋藤氏はアメリカで長年にわたりヘッジファンドを相手に資金運用コンサルタントとして活躍。顧客には大物投資家のジョージ・ソロス氏もいる。2012年秋、齋藤氏の助言に従ったソロス氏は10億ドルの利益を出し、“伝説のコンサルタント”と呼ばれている。また、トランプ政権のベッセント財務長官も齋藤氏の長年の顧客で10年来の友人関係にある。齋藤氏に今まさに暗礁に乗り上げている日米の関税交渉について聞いた。齋藤氏はこれまでの交渉がトランプ大統領にとって納得できる内容ではなかったと指摘。そのうえで、知っておくべき最低条件があると断言する。齋藤氏は「トランプ第2期政権が始まる以前の関税には必ず戻らない。もしアメリカに物を輸出したいのであれば『10%が最低ですよ』という新しい世界になっている。入場料・入園料として例えてみるとトランプ第2期政権以前が平均2.5%~3%という水準だったが、それが最低で10%だから10%以下はない」と話した。トランプ大統領の最大の狙いはアメリカに製造業を取り戻すため、企業の行動を変えさせることだという。交渉の焦点は自動車にかかる税率をどうするかという1つしかないと強調する。齋藤氏によると、台数によって関税を変える仕組みなどが検討されている可能性もあるという。一方、日本の政治体制が交渉を不利にしているとも指摘した。