スイスは農業に向かない土地が大半だが、自給率は日本よりも高い49%を維持している。スイスは農家が安定して食料を生産するための仕組みを整えていた。収入の3分の1ほどは国からの補助で、予算は日本円で約3500万円にのぼる。スイスでも戦後多額の補助を行った結果小麦の生産過剰が起きた。市場原理を導入すると収入が減少し、農家の離農により食料安全保障をどう確保するかが課題となった。1996年に行われた国民投票の結果、国民は食料の安定供給に必要な範囲で農業を守ることを選び憲法に明文化された。安定供給のため、国は生産の規模や方法が計画どおりに行われているかなど厳格な審査を行っている。制度の結果、若い人材も育っている。農業の専門学校の授業料は無料で、生徒数は30年で3倍近く増えた。