いまSNSに特攻隊の白黒写真を生成AIでカラー映像にして動きをつけたものや、隊員が遺した遺書の内容としているものなどの投稿が増えている。分析するとその数は今年の8月15日までで1000本以上で、再生回数は1億を超えている。太平洋戦争末期に多くの若者が特攻作戦で出撃し、旧陸軍の万世飛行場で撮影された写真に写る5人の少年も撮影の翌日に命を落とした。SNS上ではこの写真も生成AIでカラー化され、笑顔の動画として投稿されている。この動画は43万回以上再生されていた。兄が万世飛行場から出撃した加覧優さんは「笑顔でいったかはほかの人はわからないので、笑顔を作るのはよくない」などと語った。隊員たちの写真や手紙などを展示している記念館も、懸念を示している。なぜこうした動画が作られているのか、生成AI動画を作成した男性は「戦後80年、薄れゆく記憶を次世代に継承したい。映像化でその人物が実際に生きていた一人の人間だと感じてもらえれば。今後は遺族や資料館などに納得して頂ける形で制作を」と話していた。遺書に関する動画は740本で、再生回数は6,200万回にのぼっている。しかし調べてみると、もとになった遺書そのものが創作された疑いが指摘されているものだった。他にも実在する遺書の内容が書き換えられている投稿が多数あった。搭乗員が操縦して敵艦に体当りする特攻兵器「回天」は太平洋戦争末期に使われ、106人が死亡した。操縦員たちは潜水艦から狭く脱出装置もない回天に乗り込み、出撃していった。戦死した佐藤章さんが妻に遺した手紙が動画化されSNS上にあげられているが、タイトルには回天ではなく「神風特攻隊員遺書」と記され内容も異なっていた。埼玉大学の一ノ瀬俊也教授は「特攻の全体像が伝わらず、単なる感動物語になっていることが問題。史実を改変した物語がウェブを介して事実のように受けとられてしまうのは、史実から離れた歴史像が一人歩きする」などと指摘した。
