「SHOGUN」は過去に一度、1980年にアメリカのテレビ局がドラマ化し大ヒットした。当時、ほとんどのアメリカ人にとって日本文化は馴染みがなく、ドラマは新鮮な驚きをもって受け止められた。SHOGUNというレストランが次々をオープンするなど日本食ブームも巻き起こった。リバイバルヒットとなったSHOGUNの背景には44年前とは異なる事情があった。それは、アメリカ社会やエンタメ産業が大きく変化してきたこと。ハリウッドの映画産業に携わる人の人種の比率を調査したリポートによると、2011年は90%近くが白人だった。アメリカには監督や主演が白人でなければヒットしないという固定観念があったという。このことがアメリカ社会で問題視されるようになったのは2016年。2年連続でアカデミー賞にノミネートされた俳優が白人によって独占された。映画監督のスパイク・リーは受賞式をボイコットし、批判が相次いだ。2017年には日本のアニメ「攻殻機動隊」はハリウッドで実写化されたが、主演を白人俳優が演じたためホワイトウォッシングではないかと議論が巻き起こった。こうした中でハリウッドは次第に多様性重視を打ち出していった。さらに、パンデミックの巣ごもり需要でストリーミングサービスが急成長した。アメリカの人々が海外の作品をみる機会が増え、字幕視聴が一般化していった。SHOGUNに出演した浅野忠信さんはその変化を実感したという。こうした中、今年のアカデミー賞では「ゴジラ-1.0」が視覚効果賞を受賞した。