都心から車で2時間、奥多摩にある標高1531メートルの三頭山。奥多摩湖に浮かぶ200メートルほどの麦山浮橋を渡って入山する。この橋は、もともとあった道がダムができて沈んでしまったため、代わりに設けられたものだ。渡った先の登山道から、4時間かけて登る。この日の最高気温は30度近く。4時間もかからないお手軽なルートもある。浮橋を渡った登山道は、標高差は1000メートルくらいある。車で30分ほど移動した山の反対側にも登山口があり、山頂までは僅か500メートルだ。三頭山のこの一帯は、東京都檜原都民の森となっていて、東京都が管理するいわば山の公園とも言える場所だ。職員の松山さんは高校時代から20年以上、三頭山に通い続けるエキスパートだ。松山さんの案内で、ウッドチップが敷き詰められ、整備された登山道を進む。この時期に鳴くエゾハルゼミは、1000メートル以上の山に生息している。瑠璃色のオオルリの美しい鳴き声を目当てにたくさんの人がやって来る。30分ほど歩くと、きれいな沢があり、ハコネサンショウウオという貴重な生き物もいる。落差35メートルの三頭大滝があるほか、山頂付近には、ブナの原生林が広がっている。およそ2時間で山頂に到着した。かつて、この一帯は皇室が所有する森林で、昭和の初めごろに都の管理となった。都民の森では、サンショウウオの観察会やバードウォッチングなど、今回案内してくれた松山さんたちによる自然観察会も行われている。