創業88年の金融機関が行う人的資本経営の柱の一つが、「手上げ」による登用。藤原深香さん(51)は地元の支店に一般職で就職し、30年以上バックオフィスの仕事を続けてきた。この春から新たに「営業」の仕事を始めた。会社が呼びかけた「チャレンジ制度」に手を上げた。本人の意欲や業績に応じ、処遇が上がるこの仕組み。「外回り」にも積極的に取り組み始めている。会社では「抜てき人事」も本格化。店舗で働く一般職の人たちを幹部候補として育成する研修を開始。一方埼玉・上尾の自動車部品の加工などを手掛けるある中小企業では、「スキルの見える化」に取り組むことで従業員の能力を最大限引き出そうとしている。人手不足に直面し、売り上げの確保が課題。新たな評価制度では、スキルの評価シートを作成。新たな技術を身に付ければ手当も加算。スキルやマネジメントのレベルに応じ、誰でも指導者や工場長を目指せるというもの。