1月、能登半島地震が起き、輪島市では最大震度7を観測。天皇皇后両陛下は3月、同市を訪問され、火災に見舞われた輪島朝市で黙礼された。4月、両陛下、秋篠宮さまは穴水町に足を運ばれ、9月、紀子さまは石川・珠洲市で結核検診の様子を視察された。輪島市では9月に豪雨災害が発生した。輪島塗の技法の1つ、沈金の技術で重要無形文化財に認定された前史雄氏は輪島朝市の一角に自宅と工房を構えていたが、火事で焼失。作品、道具すらも失った。2月、天皇誕生日のニュースで、両陛下の傍らに珠洲焼、輪島塗の作品が置かれていて、その1つは前氏が手がけたものだった。また、佳子さまは「第70回 日本伝統工芸展 福岡展」で同氏の作品を鑑賞され、豊かな緑の風が感じられたという。10月、前氏は「第71回日本伝統工芸展 石川展」に新作”緑風”を出展し、佳子さまとも懇談された。その際、佳子さまは上皇ご夫妻に献上された前氏の作品を写した写真を持参されていた。震災の衝撃から少しずつ立ち直りながら、前氏は新たな作品づくりに取り組んでいる。