新潟県十日町市の農家の徳永稔さんは中山間地の田んぼおよそ20ヘクタールを従業員2人と耕作している。中山間地では地形に沿う形で田んぼや農道が作られているため、管理には手間がかかるという。2年前に約450万円をかけて、GPS付きの田植え機を導入。自動操縦で労力を減らせると考えていたが、山奥の一部では携帯電話の電波が届きにくい場所もあった。そのため中山間地では機能を十分に活かせず、他に管理している平地で使用している。次々と担い手がいなくなり、農地の荒廃が進む中山間地。徳永さんは地元の農家とともに、耕作放棄地などの調査を進めている。この日は放棄された田んぼの跡を新たに見つけた。10年後の担い手を示した地図では今75歳を超えた農家が担い続けているという農地も少なくない。それでも徳永さんは中山間地の田んぼを守りたいと考えている。中山間地の田んぼは鹿や猪など獣を遠ざけたり雨水を溜めるダムとして水害を防いだりする役割があり、平地にとっても重要だからである。「中山間地を守るカギは?」について、新潟県上越市で農業法人を経営している保坂一八さんは中山間地と平地を組み合わせて維持する仕組みを進めている。地域にある12の農業法人・農家と連携し、農地を一帯で管理している。全部でおよそ400ヘクタールあるが、そのうちの6割余りが平地で残りが中山間地である。皆で農機具を共有し、肥料や農薬などを共同で購入しコスト削減につなげている。農業法人の若手社員が中山間地を手伝うことでベテランの農家からノウハウを学ぶ経験にもつながった。こうした取り組みによって、中山間地の農地を維持しながら生産量の拡大につなげている。