訪問介護の現場ではヘルパーの人手不足と高齢化が問題となっている。今回取材した大阪市の訪問介護の現場では69歳のヘルパーが84歳女性の食事の準備・掃除・洗濯などを行い、週6日稼働して手取りはひと月15万円ほどだという。多いときで1日4件の家を回るといい、度々ぎっくり腰を患うなどギリギリの状態で働いている。訪問介護事業を行う会社の倒産・休廃業件数は去年過去最多の529件を記録し、大阪府では全国最多の73件となっている。大阪・東成区の訪問介護事業所では在籍するヘル-パーの半数が60歳以上で、人手不足によってヘル-パーのシフト調整にも無理が生じてきているという。また近くにある訪問介護事業所が倒産したことで利用者の引き継ぎ相談が相次ぎ、ヘル-パーを増やそうにも人手がほとんど集まらないという。訪問介護の場合は不測の事態が発生した際にヘルパー1人で対応しなくてはならないため負担が大きく、国が去年訪問介護の基本報酬を約2%引き下げたこともあり、働き手が介護の現場であえて訪問介護を選択する理由がなくなっているという。また訪問事業所の中には基本報酬引き下げによる減収で自分の定期預金を切り崩してなんとか運営を続けているところもあるなど経営がギリギリの事業所も少なくない。