解説委員・水野倫之。国内に4300万人の患者がいるとされる高血圧。その予防や改善に向けて国は、国民の塩分摂取量の目標値を引き下げた。減塩に、どう取り組めばいいのか。高血圧は心臓が送り出した血液が血管を押す圧力が高いままの状態をいい、診察室で上が140下が90以上の場合高血圧と診断される。放っておくと血管がもろくなって脳卒中や心臓病などのリスクが高まる他、脳の神経細胞の機能が妨げられ認知機能の低下につながる可能性も報告されている。しかし血管は痛みを感じないため、ある日突然、命に関わる重病となるケースが多い。何が原因で高血圧になるのか。食塩のとりすぎや運動不足ストレスなどが原因。血圧を下げるには薬もあるが、学会では生活習慣の改善、中でも減塩が重要だという。そもそもなぜ食塩、塩分をとりすぎると血圧が上がるですか。人の血液の塩分濃度は0.9%と決まっているから。塩分をとりすぎると濃度を保とうと水分が増え血液の量が増えて血圧が高くなる。このため国は、この春から2032年度までの国民の健康作りに向けた基本計画で、塩分の平均摂取量の目標値をこれまでの1日8gから7g未満に引き下げた。WHOは5gを推奨しているが現状、日本人の摂取量は10.1gで、なんとかしなければならないと引き下げた。専門家は7gはかなり大変で、個人的な取り組みはもちろん社会的な取り組みが重要だと指摘している。
岐阜県北部の飛騨市。山々に囲まれた町の中心部には古い家並みが残り外国人にも人気の観光地。子どものころから漬物をよく食べ給食の献立にラーメンがある程ラーメン好きの食文化もあって、2018年の国民健康保険加入者の健診で比較的重い高血圧の住民の割合が9.2%と、県内ワーストワンとなってしまった。以来、市の保健センターを中心に、減塩の取り組みが始まった。減塩食品の普及。スーパーでは醤油や、出汁、みそ汁のコーナーに減塩食品が分かるよう目印がついている。また、地域では造り酒屋が多いことから酒店にも減塩醤油を置いてもらい、希望があれば配達もしてもらう。薬局では、高血圧の患者が薬をもらいにくればもちろん、そうでない患者にも減塩醤油を勧める。薬剤師が働きかけることで減塩食品への関心を少しでも高めようという戦略。
今、最も力を入れているのが市民の健康相談や保健指導。この日、住民の血圧測定会が開かれたのはなんとラーメン店。市が地元のラーメン店に働きかけてこの春、減塩しょうゆを使った減塩ラーメンを開発。その普及も兼ねてラーメン店での血圧測定となった。この日は、50人が測定に訪れた。市では、他にも高血圧の住民の自宅を訪れて保健指導を行っている。こうした取り組みで、高血圧の住民の割合は4.3%まで減り効果を上げているという。学会にはアドバイザーがおり、この飛騨市も含め自治体にどう取り組んだらよいのか助言をしている。地域ぐるみの取り組みを行う自治体は増えているという。でも、やっぱり最後は個人個人の取り組みが不可欠。日本人は塩分の7割を調味料から摂取している。専門家は、その使い方の工夫を呼びかけている。例えば、みそ汁を減塩して味気ないようであればだしを使う。昆布や、かつお節のような自然由来のものには健康に影響のある塩分は含まれていない。調味料の代わりにレモンやすだちなど、かんきつ類の酸味でアクセントをつけることもできる。このように生活習慣を改善し血圧を下げることで重病化を予防することが可能。ただ、血管が傷ついて元に戻らなくなってからでは遅いため、これを機会に各家庭で毎日血圧を測るなど自分の状態を知ることが大切。(東北大学・伊藤貞嘉名誉教授)
岐阜県北部の飛騨市。山々に囲まれた町の中心部には古い家並みが残り外国人にも人気の観光地。子どものころから漬物をよく食べ給食の献立にラーメンがある程ラーメン好きの食文化もあって、2018年の国民健康保険加入者の健診で比較的重い高血圧の住民の割合が9.2%と、県内ワーストワンとなってしまった。以来、市の保健センターを中心に、減塩の取り組みが始まった。減塩食品の普及。スーパーでは醤油や、出汁、みそ汁のコーナーに減塩食品が分かるよう目印がついている。また、地域では造り酒屋が多いことから酒店にも減塩醤油を置いてもらい、希望があれば配達もしてもらう。薬局では、高血圧の患者が薬をもらいにくればもちろん、そうでない患者にも減塩醤油を勧める。薬剤師が働きかけることで減塩食品への関心を少しでも高めようという戦略。
今、最も力を入れているのが市民の健康相談や保健指導。この日、住民の血圧測定会が開かれたのはなんとラーメン店。市が地元のラーメン店に働きかけてこの春、減塩しょうゆを使った減塩ラーメンを開発。その普及も兼ねてラーメン店での血圧測定となった。この日は、50人が測定に訪れた。市では、他にも高血圧の住民の自宅を訪れて保健指導を行っている。こうした取り組みで、高血圧の住民の割合は4.3%まで減り効果を上げているという。学会にはアドバイザーがおり、この飛騨市も含め自治体にどう取り組んだらよいのか助言をしている。地域ぐるみの取り組みを行う自治体は増えているという。でも、やっぱり最後は個人個人の取り組みが不可欠。日本人は塩分の7割を調味料から摂取している。専門家は、その使い方の工夫を呼びかけている。例えば、みそ汁を減塩して味気ないようであればだしを使う。昆布や、かつお節のような自然由来のものには健康に影響のある塩分は含まれていない。調味料の代わりにレモンやすだちなど、かんきつ類の酸味でアクセントをつけることもできる。このように生活習慣を改善し血圧を下げることで重病化を予防することが可能。ただ、血管が傷ついて元に戻らなくなってからでは遅いため、これを機会に各家庭で毎日血圧を測るなど自分の状態を知ることが大切。(東北大学・伊藤貞嘉名誉教授)
URL: http://www.who.int/