中国で重要政策を決める全国人民代表大会が始まり、李強首相はことしの経済成長率の目標について、去年と同じ水準の5%前後と明らかにした。去年、一昨年の成長率の平均は4.2%と考えると、中国経済の成長力は衰えているといえる。李首相は数年連続で超長期特別国債を発行するとし、調達したお金は財政が悪化する地方政府の予算に振り向けられると考えられる。去年はゼロコロナ政策が終了しているもののリベンジ消費が伸び悩み、習近平指導部による政策で住宅価格が値下がりしたことで、不動産会社の経営が悪化。加えて、個人資産の価値も下がり、消費マインドを冷やした。住宅の需要も減少し、住宅資材が余剰となったことで価格が下落。それは企業業績の悪化、賃金の低下にも繋がった。共産党は一党支配の維持に躍起だが、2月、湖南省の共産党委員会で思想解放の討論を行うよう求める通知が出されていた。「思想が保守的では発展は滞る。思想解放の時、より良く、より速い発展が実現される」とされるなど、経済発展を重視した考えで、全国に広がるのか注目される。
李強首相は外国企業の誘致に積極的に取り組む姿勢をアピールした一方、昨年、改スパイ法が施行された。国家安全と利益に関わる文書などが取り締まりの対象に加えられたが、国家安全について意義が不明確で、海外の企業は、中国当局の恣意的な判断で摘発を受けるリスクを懸念する。日本としては事業環境を不透明にする要因を極力減らすよう働きかけるとともに、巨大マーケットの果実をいただくというしたたかな対応が求められている。
李強首相は外国企業の誘致に積極的に取り組む姿勢をアピールした一方、昨年、改スパイ法が施行された。国家安全と利益に関わる文書などが取り締まりの対象に加えられたが、国家安全について意義が不明確で、海外の企業は、中国当局の恣意的な判断で摘発を受けるリスクを懸念する。日本としては事業環境を不透明にする要因を極力減らすよう働きかけるとともに、巨大マーケットの果実をいただくというしたたかな対応が求められている。