先月、中国で起きた日本人男児刺殺事件。犯行動機は明らかにされていないが、日本では中国人の反日感情について報じられている。実際はどうなのか池上彰が解説。1989年、民主化を求める学生らを政府が武力で弾圧した天安門事件。この事件がきっかけで反日教育が始まったという。中国共産党は天安門事件を大いに反省。二度とデモが起きないよう国民を徹底的に教育することにした。そこで目をつけたのが日本。なぜ中国共産党が統治しているのかというと、日本軍と戦って中国の人民を解放したから中国共産党が中国を統治しているとの言い方で正当性を強調している。結果的に日本がいかにひどい事をやったか説明し、日本軍に打ち勝った中国共産党は素晴らしいという教育になる。中国で行われているのは愛国教育。反日教育はしていないと中国政府は言っている。日本に来ている中国人にどんな事を習ったか聞くと「南京大虐殺や盧溝橋事件」等の声が聞かれた。特に南京大虐殺は必ず教えられる。多くの日本の教科書は「南京事件」と表記。犠牲者の数は論争があり確定していない。2023年の調査で日本の印象を「良くない」「どちらかといえば良くない」と答えた中国人は62.9%。一方で中国の印象を「どちらかといえば良くない」と答えた日本人は92.2%。実は中国人に日本が人気というデータも。最近はリーズナブルな日本食が人気。今、中国で大人気なのが日本動漫(日本アニメ)。90年代生まれ以降の中国人の大半が日本アニメを見て育った。観光客に日本の印象を聞いたところ、日本軍は悪者と教えられてきたものの日本文化は好きという中国人が多い。一方で中国での事件は日本人だけを狙って起きているわけではない。背景に格差の拡大が深刻になっていることがあるという。