- 出演者
- 池上彰 宇賀なつみ 松嶋尚美 伊集院光 カズレーザー 浮所飛貴(美 少年) 秋元真夏
米不足は落ち着いてきたが、今年の春あたりから給食にパンが出なくなったという学校が出てきている。給食用のパンは学年によって作り分けたり、各学校に大量に配送しなければいけないなど手間が掛かる。そんな中、近年の物価高や人手不足で撤退する業者が増加。チョコの原料カカオ豆の収穫量が減って値上りしている。大手メーカーでは、カカオの使用料を減らした新製品を開発中。日本が輸入するカカオの約8割がガーナで作られたもの。そこで今起きているのが金の違法採掘。ガーナは金の産出国でもある。金が値上がりする中、カカオ畑を掘り返して金を採掘するという悪質な犯罪が激増。そのためカカオの生産量が減少し値上りに繋がっている。コーヒーの値上りの原因は、中国でドリアンブームが起き、コーヒー豆の生産量世界2位のベトナムではコーヒー畑をドリアン畑に変える農家が激増したため。脱石油の意識が広がる中、製油所が閉鎖されたり縮小されている。その影響を受けている炭酸ガス。炭酸ガスは石油精製の副産物なので、脱石油で炭酸ガス不足になっているという。炭酸ガスから作られるドライアイスも不足し、アイスクリーム屋さんでドライアイスの提供を制限。
鍋物が美味しい季節だが、土鍋が材料不足で生産できなくなるかもしれないという。材料は粘土以外にペタライトという鉱石を約40%使用。ペタライトにはリチウムが含まれており入手困難になっている。世界でリチウムが採れる場所は、ボリビアのウユニ塩湖。新潟県とほぼ同じ面積の塩の平原だが、一角にリチウム採掘工場がある。ウユニ塩湖の下に大量にリチウムが眠っており、ボリビアはリチウムで発展するという声がある一方で、景観が損なわれるなどの声もある。リチウムは白いダイヤモンドと言われるほど珍しい鉱物。電子機器に欠かせず世界で争奪戦が起きている。中国が世界各地でリチウム鉱山を買収している。日本向けにペタライトを作っていたアフリカの鉱山も中国企業が買収し、日本にペタライトが入らなくなったという。その後、中国に働きかけ輸入再開したが安定的に輸入できるかは不透明。
世界で和食ブームで足りなくなっているのが寿司職人。日本では見習いでも海外では高給取り。出稼ぎに行く職人が増加。そのため国内で深刻な職人不足。廃業せざるを得ない寿司屋も少なくないという。「鮨 銀座おのでら 登竜門」では、若手職人が握るため格安になる。大工の数はこの20年で半分以下に減少。経験不足の人に頼らざるを得ない状況でトラブルも多発。地震のあった能登半島では、住宅再建の目処が立たないなど深刻な影響をもたらしている。自動車業界でも、整備士不足で修理が数ヶ月待ちというケースが発生しているという。整備士不足に対して国は給付金制度を作っている。東京都知事選で史上最多56人が立候補したが、全国的には地方議員の候補者不足。町村議会で深刻な状況で、去年の統一地方選挙では町村議会選挙の3割以上で立候補者が定数を超えず、1250人が無投票で当選。不足の原因は、大きな原因として言われるのが給料。町村議会は市議会と比べると安く、高齢の男性議員が大半で若い世代や女性が参加しにくいというイメージもあるという。そこで地方議会では、議員報酬を増やしたり、議会開催を休日や夜間にして仕事を持つ人でも働きやすいようにするなどの工夫をしている。議員とは別の仕事を掛け持ちが当然の国もあるという。
日本では保育所が余ってきているという。待機児童が問題となった時に国は補助金を出して保育所の数を増やしたが、少子化の進行で定員割れが起き、今後運営が困難な保育所が増えるとされている。問題の解決には保育士の待遇改善が必要とされている。
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日本の自衛官不足について。現状は24万7154人の定員に対し2万人以上足りていない。近年特に人手不足が顕著で、2023年度は募集計画の半分しか採用されなかった。自衛隊の応募者数は景気の動向に左右されるといい、不景気だと応募者が増える傾向にあるという。また近年ではセクハラなどの不祥事も話題になり、イメージダウンにつながっている側面もある。
自衛隊の人手不足対策について。防衛省は勤務環境の改善やAIなどを利用した省人化・無人化、OBの復帰や民間への外部委託などを方針として掲げている。さらに最近では定年の引き上げも行われているとのこと。一方海外、特に戦火に近いヨーロッパでは徴兵制の復活を議論している国もあるとのこと。また米軍はeスポーツの大会を主催するなどして親近感をアピールし、ゲームを通じて武器や作戦に関する知識を持ってもらおうとしているという。
先月、中国で起きた日本人男児刺殺事件。犯行動機は明らかにされていないが、日本では中国人の反日感情について報じられている。実際はどうなのか池上彰が解説。1989年、民主化を求める学生らを政府が武力で弾圧した天安門事件。この事件がきっかけで反日教育が始まったという。中国共産党は天安門事件を大いに反省。二度とデモが起きないよう国民を徹底的に教育することにした。そこで目をつけたのが日本。なぜ中国共産党が統治しているのかというと、日本軍と戦って中国の人民を解放したから中国共産党が中国を統治しているとの言い方で正当性を強調している。結果的に日本がいかにひどい事をやったか説明し、日本軍に打ち勝った中国共産党は素晴らしいという教育になる。中国で行われているのは愛国教育。反日教育はしていないと中国政府は言っている。日本に来ている中国人にどんな事を習ったか聞くと「南京大虐殺や盧溝橋事件」等の声が聞かれた。特に南京大虐殺は必ず教えられる。多くの日本の教科書は「南京事件」と表記。犠牲者の数は論争があり確定していない。2023年の調査で日本の印象を「良くない」「どちらかといえば良くない」と答えた中国人は62.9%。一方で中国の印象を「どちらかといえば良くない」と答えた日本人は92.2%。実は中国人に日本が人気というデータも。最近はリーズナブルな日本食が人気。今、中国で大人気なのが日本動漫(日本アニメ)。90年代生まれ以降の中国人の大半が日本アニメを見て育った。観光客に日本の印象を聞いたところ、日本軍は悪者と教えられてきたものの日本文化は好きという中国人が多い。一方で中国での事件は日本人だけを狙って起きているわけではない。背景に格差の拡大が深刻になっていることがあるという。
現在中国はGDPの成長予測が下方修正されるなど失速しているとの見方が広まっている。要因はゼロコロナ政策や不動産不況などと考えられているが、池上彰が注目するのは先富論から共同富裕へと変わったこと。中国では社会主義国ながら先に儲けられるものから儲けてもよいという先富論に舵をきって経済成長を遂げていたが、多くの国民から経済格差について不満の声が出るようにもなった。そこで習近平政権では共同富裕の考え方に方針転換し、大企業に協力金支出を迫るなど富裕層のSNS発信を禁止するなど極端な格差隠蔽政策を行った結果富裕層が海外に移住する事態に発展し、経済が大混乱に陥った。また中国に進出していた外国企業もスパイ容疑による検挙リスクなどから撤退する動きも出て、経済にますます悪影響を及ぼしている。