- 出演者
- 池上彰 宇賀なつみ 北斗晶 伊集院光 カズレーザー シュウペイ(ぺこぱ) 松陰寺太勇(ぺこぱ) 池田瑛紗(乃木坂46)
温暖化や異常気象でフィリピンでは大量のイワシが海面に上昇し集まった。ベネズエラではキャノンボールクラゲ、アメリカではサメやアシカなどが大量発生した。今回は世界地図を見ながら国際情勢を解説する。
世界の自然災害について。モスクワでは7月3日に32.7℃を観測した。フランスでは五輪期間中熱波の影響で熱中症になった人も。アメリカのデスバレーでは54℃を観測した。ニューヨークでは高温で橋の金属部分が膨張して元に戻らなくなった。サウジアラビアでは50℃を超えた6月に大巡礼で世界中のイスラム教徒が集まり、1300人が熱中症などで亡くなった。アフリカ南部やメキシコでは干ばつが深刻。オーストリアのロイタッシュ村では9月に調査開始以来新雪の量が最高となり、牛の放牧が例年より早く終わった。中国では窓枠が破壊されたり貯水タンクが飛ばされるなど台風の被害が。ドバイでは過去最大級の大雨で街や空港が浸水した。シンガポールは赤道上で台風が発生しない。経済成長しているのは自然災害が少ないのも理由の1つと言われている。台風は海水が蒸発してエネルギーが強まる。今は地球温暖化で海水温が高いため、日本付近で発生する台風は勢力を維持したまま上陸する。
世界でニュースになった生き物について。中国では頭に容器を被ったチベットヒグマが話題に。街中にヒョウやダチョウ、アヒルの大群も出没した。インドでは国立公園から逃げ出したインドライオンが出没。保護活動で数が増えている。アメリカでは走行中のバスにシカが飛び込んだ。タイでは野生のゾウが民家の壁を破壊した。開発で生息地が狭まり人里に出てくるケースが増えた。中国でも保護区を離れたゾウが民家でエサを物色。日本では侵略的外来種の1つであるマングースを根絶した。大規模な駆除に成功するのは世界初。ハブ対策として持ち込まれたがマングースは昼間でハブは夜行性のため会わず、在来のウサギなどを捕食し在来種が激減した。
世界で夫婦同姓を法律で決めているのは日本だけと言われている。日本が夫婦別姓にしない理由は反対する有力な国会議員がいるため。婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟は通称として旧姓を使えるようにしようと提言している。「一体感がなくなる」「絆が壊れる」「戸籍上は家族の名前がなくなる」といったことが主な反対理由。
夫婦別姓の国では結婚するときや子どもが生まれた時にどちらの姓にするかを決めたり、両方を合わせた結合姓という選択もある。経団連は選択的夫婦別姓制度の早期実現を政府に提言した。論文を出したりして活躍する女性が結婚して名字が変わり過去の実績が認められないということが起きている。パスポートは旧姓を併記できるがICチップには登録されない。東北大学の吉田教授は夫婦同姓を続けると2531年に日本人全員が佐藤さんになるとシミュレーションしている。あるアンケートでは夫婦同姓がよいと回答したのは約4割。夫婦別姓を選べた場合全員が佐藤さんになるのは3310年と試算されている。2531年の日本の人口は約28万人、3310年には22人と試算されている。世界127の国と地域で人口減少の傾向になっている。アフリカは子どもが増えており、2050年までに人口が倍増すると予測されている。日本では少子化を食い止めるために児童手当や大学無償化、こども誰でも通園制度などの対策が始まった。子ども3人以上の家庭への支援が特に手厚くなっている。これまでは18歳の年度末まで子どもとしてカウントされていたため一番上が19歳になると一番下の児童手当の加算分はもらえなかった。これからは22歳の年度末まで子どもとしてカウントされることになった。カズレーザーはそもそも教育の優先度が低い、その順位を社会保障第一主義から変えない限りは少子化はなおらないと指摘した。
日本は景気対策のために金利を低くすることによって意図的に円安に誘導してきた。一方アメリカは値上がりを抑えるため金利を上げてきた。投資家は円をドルに替え、円安ドル高が進んだ。ことし3月に日本は久しぶりに金利が上がり、アメリカは金利を下げた。日銀の植田総裁が「すぐに利上げということにはならない」と発言したのを受けて円高が止まった。世界で円高なのはトルコ、エジプト、アルゼンチンだけ。ロシアは軍需産業に力を入れているため景気が良い。資源が少なく経済成長が鈍いため、相対的に円の価値が下がりやすくなっている。日本より通貨の価値が下がったトルコ、エジプト、アルゼンチンでは記録的なインフレ状態で、エジプトは27.75%、アルゼンチンは41.21%、トルコは50%に金利を上げた。アメリカの経済が強く、アメリカが金利を上げたり下げたりするたびに世界中が大きな影響を受けている。
外務省が出している世界の危険度マップでは危険レベルが4段階になっており、アフリカはテロが多いため渡航中止勧告や退避勧告がされているところが多い。中東の一部でもテロが頻発しており危険レベルの高いところが多い。北朝鮮については渡航自粛が出されており、どのレベルにも当てはまらないグレーになっている。ウクライナ侵攻で農家のコストが増えたのにウクライナ産の農産物には関税を停止したため、ヨーロッパに安い農産物が大量に入ってきた。不公平で農家が生きていけないとヨーロッパ全域にデモが広がっている。スペインでは観光客が多すぎるとデモが起きた。7月に少女3人が殺害される事件がおきたイギリスでは、様々なデマが広がり移民政策に対する抗議デモにつながった。モスクや難民施設への攻撃にまで発展した。ブラジルでは誤った情報の拡散が止まらないためXが突然遮断された。利用したら1日約130万円の罰金が課せられる。バングラデシュでは独立戦争を戦った軍人の家族に公務員採用枠の30%を与える優遇措置がきっかけとなり、猛反発した学生を治安部隊が弾圧したため多くの犠牲者が出た。最終的には政権の退陣を求めるデモに発展し、首相が国外に逃亡した。8月に行われた国際会議で西サハラ地域の独立を認めていないモロッコ代表と独立を認めたアルジェリア代表が乱闘になった。南シナ海では中国とフィリピンの船が衝突。お互いがサビナ礁の領有権を主張し、周辺での衝突が増えている。日本では8月に中国軍軍用機による領空侵犯が確認された。軍用機はスパイ機とも呼ばれ、航空自衛隊の部隊の動きを把握するためではなどと言われている。
アフリカ中央部でエムポックスという感染症が流行している。発熱や発疹などの症状が出て接触や飛沫で感染する。致死率は数%~10%ほどだが、今年だけで感染疑い含800人以上の死者が出ている。以前はサル痘という名前だったが、サルが襲われるなどの被害が出たり人種差別につながる恐れもあるなどの理由から名前が変わった。アフリカの一部で流行していたが、グローバル化の影響で今は123の国に広がった。
イギリスは14年ぶりに政権交代して労働党に代わった。イギリスでは頻繁に首相が代わっていた。アメリカ大統領選のテレビ討論会ではハリス候補の支持率が一歩リード。NYタイムズは同率だった。10月には大統領選の結果が予測不能になるためオクトーバーサプライズと言われている。2016年の大統領選ではヒラリー候補が確実視されていたが、選挙11日前に私用メール問題が起きて空気が変わった。
中東情勢について。中東で大きな影響力を持っていると言われるのがイラン。日本はビザなしでイランに旅行に行けるが、パスポートにイランへの入国スタンプがあるとアメリカにはビザを取らないと入れなくなる。
イランは世界有数の資源国で、日本への主要な石油供給国。今はアメリカの経済制裁の影響で輸入は停止されているが、日本とは昔から良い関係を築いてきた。観光ビザ免除協定を結んでいたため、90年代前半には多くのイラン人が日本に来ていた。親日のイランでは「おしん」の視聴率が90%を超えた。またバブルに流行ったペルシャ絨毯はイランで作られたもの。中東に多いのはアラブ人だがイランに多いのはペルシャ人。イランはイスラム教の少数派シーア派の代表的存在。イランは元々親米の王様がいたが1979年に革命が起き、反米のイスラム指導者が権力を握った結果アメリカとの仲が悪くなった。