- 出演者
- 池上彰 宇賀なつみ 山本浩司(タイムマシーン3号) 関太(タイムマシーン3号) ケンドーコバヤシ カズレーザー 磯野貴理子 山之内すず
9月1日の防災の日は関東大震災の発生などをきっかけに自然災害への心構えを育成するために定められた。今年の地震発生回数は能登半島地震関連を除けばほぼ例年通り。ことし日本で震度6弱以上を観測した地震は5つで、2016年に次いで多くなっている。4月3日には台湾、8月18日にはカムチャッカ半島付近で大きな地震が起きている。南海トラフとは駿河湾~日向灘にかけてのびる海底の窪みのこと。水深6000m未満がトラフ、それ以上は海溝と呼んでいる。日本付近では太平洋プレートとフィリピン海プレートが年間数センチから10センチ程度から動いている。東日本大震災はプレートがぶつかったストレスによって起きたプレート境界型の地震。内陸型はプレート境界のストレスに内陸が耐えられずに起きる地震。南海トラフ地震はもともと4つの震源域に分けて考えられていたが、東日本大震災は3つの震源域でほぼ同時に地震が起きたため南海トラフは4つにまとめられてひとつの想定震源域となった。南海トラフ地震臨時情報は2019年5月から運用が始まり、今回始めて適用された。南海トラフ沿いっでM6.8以上の自身が起きた場合、または通常と異なる地殻変動が観測された場合に専門家の臨時会合が開かれる。南海トラフ想定震源域ではおおむね100~200年間隔で巨大地震が発生しており、前回の地震からは80年が経過しているため警戒されていた。そこで日向灘で大きな地震が発生したため臨時情報が出された。東日本大震災の2日前には最大震度5弱の大きな地震が起きていたため、日向灘のあとの大きな地震への警戒が強まった。南海トラフ地震は30年以内にM8~9クラスの巨大地震が70~80%の確率で発生するとされているが、単純平均モデルや時間予測モデルといった確率の計算方法の違いからもっと低いと指摘している専門家もいる。防災意識を高めるために意図的に高い確率を出しているとも言われている。
M8.0以上の地震が発生した場合は巨大地震警戒、M7.0以上M8.0未満の地震が発生した場合は巨大地震注意を出すことになっている。注意が出された場合は備えを再確認する。今回、津波が到達する一部の海水浴場が遊泳禁止になり、新幹線は一部区間で徐行運転になった。高知県ではよさこい祭りを開催したが、参加者に避難マップを配るなどの対策がとられた。巨大地震警戒が出されたら、津波避難が間に合わない場合事前避難をするところも出てくる。巨大地震注意は普段の約0.1倍程度の数倍確率が高まった、巨大地震警戒は100倍確率が高まったことを示している。巨大地震注意は社会的な影響を考えて1週間で解除することになった。先月の日向灘の地震では長周期地震動が観測された。長周期地震動は遠くまで伝わりやすく、東日本大震災では大阪市でも長周期地震動で事故が発生した。長周期地震動も4つに階級分けされている。2016年に熊本地震では余震への注意を呼びかけていたら後の方が大きな地震が発生したため、余震の言い方をやめて同程度の揺れに注意という言い方になった。
南海トラフ地震の震度分布は10県127の市町村で震度7、東京では最大震度5強などと想定されている。最大規模の場合はM9.1で東日本大震災以上と言われている。津波の高さは高知県で最大34mで、東日本大震災の2~3倍になるともと想定されている。水深が深いとスピードはジェット機並み。海岸に来ると新幹線並みから自動車並みのスピードで迫ってくる。高知県では最短5分で到達すると想定されている。警報が出たら高いところに逃げることが大事。
筑波大学の八木教授は南海トラフ地震がいつ起こるかは予測が難しい、紀伊半島沖で何が起きるのかで連動するかが決まるかもしれないなどと話した。南海トラフ地震は最悪の場合、約32万3000人の死者・行方不明者、約238万6000棟の全壊、約214兆円の経済被害が想定されている。対策が進んだことで被害を減らせるという試算もあり再検討中。起きると言われている巨大地震は南海トラフ地震、首都直下地震のほかにまだ2つある。
国は南海トラフ地震、首都直下地震のほかに日本海溝・千島海溝周辺地震と中部圏・近畿圏直下地震にも注意を呼びかけている。中部圏・近畿圏直下地震では古くからの木造市街地や文化財の被災が心配されている。北海道や東北の一部に注意を促す「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の運用が2022年12月に始まった。伊豆市土肥地区には津波タワー「テラッセ オレンジ トイ」がある。中にはレストランや土産物店などが入っており、全国初の観光と防災機能を併せ持つ複合施設。高知・黒潮町では避難が困難な地区に6基のタワーを建設しており、佐賀地区には国内最大級の高さ25mの津波非難タワーが。毎年町全体で防災訓練を行っている。兵庫・洲本市の「洲本オリーブ保育園」には発泡スチロールでできた津波シェルターがある。約1mの浸水が想定されておりシェルターを導入した。
大地震の前に電離層に異常が出る仕組みを解明したと発表した京都大学の梅野教授に話を聞いた。梅野教授は地震の前に地中で発生するプラスの電気に引き寄せられるため電離層が下がるため、衛星で異常を観測すれば地震予知ができるのではと考えた。人工衛星から地中の異常を観察することで震源や地震の規模もわかるようになったという。地震が原因の場合は他の要因に比べて異常が出る場所が局所的になる特徴がある。
防災グッズは避難用、携帯用、備蓄用の3段階があり、避難用は配給が始まるまでを安心して過ごすための準備。メガネや普段飲んでいる薬なども優先的に入れておくと良い。携帯用は帰れなくなったときに持ち歩いていると助かるもの。警視庁は防災ボトルをXに投稿して話題になった。
食料品の備蓄は最低3日分、できれば1週間分と呼びかけられている。大人2人の場合は3日分の水は2Lペットボトル9本分。「東京備蓄ナビ」では備蓄品目・数量がリスト化されて表示される。東日本大震災後に広まった「ローリングストック」は日常で食べながら買い足していく備蓄方法。
「00000JAPAN」は災害時や大規模な通信障害が起きたときに無料開放されるパスワード不要の公衆無線LANサービス。熊本地震から始まったサービスで能登半島地震でも無料開放された。無料だからこそセキュリティーが低いため注意が必要。
「地震10秒診断」は地震が起きた場合に考えられる被害を算出できるサイト。住所や郵便番号の入力でも診断可能。池上は災害大国だからこそデータもある、自分がいるところの情報を日頃からチェックをして備えをしておくことが大切と話した。