“令和の米騒動”と言われるほど一部で品薄になっている米。そのきっかけの一つが去年の猛暑だったが、今年も猛暑が続き米の出来栄えに懸念が出ている。この暑さに負けない米作りを目指す静研究者や農家を取材。揚げたての牛カツにあうのは、やはり白米。富士市の飲食店「米えにし」はさまざまな定食を提供しているが、もっともこだわっているのは米。「米えにし」では、ご飯のおかわり無料のサービスも人気の要因だが、いま「令和の米騒動」が影を落としている。スーパーなどの売り場からお米が消えた「令和の米騒動」。去年の猛暑で高温障害が相次いだことも1つの要因に。猛暑が続く今年も生産現場は苦しい状況が続いているが、この状況を打破しようと県内で研究が進められている。磐田市の静岡県農林技術研究所で進められているのは、暑さに強い米の開発。今年は50組程度の交配をして数万株の中から有望なものを選んでいるそう。1つの品種を世に送り出すのに最短で10年はかかると言われる米の開発。静岡県農林技術研究所では、他の地域で開発された暑さに強い米が県内でも栽培できるか確かめる実験もしている。育てやすい米を見つけないと米農家が減っていくという懸念も浮上している。帝国データバンクによると、今年は米農家の廃業が過去最多のペースで推移。肥料や農薬、機材などのコストが上がり、猛暑による不作で米づくりをやめるケースが増えているとみられている。そんな中、暑さを逆手にとって米を育てる農家も現れている。浜松市の田んぼで今シーズンから始まったのは「再生二期作」という栽培方法。稲刈りは根元から切ってしまうのが通常のやり方だが、再生二期作では株を40センチ程度残して高く刈る。すると、切株から芽が伸びて2か月ほどで、もう一度収穫できるという栽培方法。去年、じゅんちゃんファームでは、高温障害で売り上げが4割ほど減ってしまった。再生二期作は2度目の稲刈りまで1日平均15℃以上の気温が続くことが条件だが、上手くいけば例年の倍近い生産量が期待できる。これ以上、暑さが続くと米が実らなくなるという事態が相次ぐことも懸念されていて、コントロールできない猛暑をどう乗り切るか、さらに知恵を絞ることが求められそう。