京都市生涯学習総合センターには平安京の精巧なジオラマがあり、北端に大内裏が置かれていた。陰陽寮は天皇の住まいにあたる内裏にほど近く、陰陽師は朝廷の役所に勤務する国家公務員と言えた。重要な仕事の1つが天体観測で、星々などに起きる異変「天変」をいち早く察知する必要があった。天変は乱れた政治に対する天の警告で、疫病や飢饉につながるとされた。989年、ハレー彗星の接近がわかると、陰陽師は天皇に報告。朝廷は元号を改めた。陰陽師からの助言は暦注といい、日毎に縁起の悪い方角、回避すべき行動などが巻物に記されていた。平安の人々にとって知るすべもなかった月食の発生を陰陽師は天文の知識で予測していて、国家に仕える官僚兼サイエンティストとして信頼を集めていたという。
住所: 京都府京都市中京区聚楽廻松下町9-2