鉄骨に囲まれ、強烈な日差しにさらされる建設現場。休憩時間になると冷たい飲み物やかき氷で体を冷やし、中には水道でシャンプーをする人も。建設業では去年までの5年間の熱中症による死傷者数が961人にのぼり、全職種で最多となっている。こうした職場での熱中症を防ぐため、国は今年6月に事業者に熱中症対策を義務付けた。熱中症になったときに症状が重くなるのを防ぐための手順などをあらかじめ定め、現場に周知することが求められる。義務化に合わせ、都内の建設現場では“もしも”の場合に備えたマニュアルなどを掲示。このほか独自の取り組みとして、約30台の仮設クーラーを順次導入する。義務化をきっかけに熱中症予防への意識は一層高まっているが、建設業の大半を占める中小の業者には戸惑いも。仙台市の工務店、建設工房零・尾崎政和執行役員は「(休憩を増やして)工期が遅れればそれだけ経費がかかるし、損失が大きくなる」などと語った。働く人の安全を守るため、現場では工夫と努力が続けられている。
