元日に最大震度7を観測した能登半島地震。9月の記録的豪雨は被災地の広い範囲に追い打ちをかけた。震災と豪雨による爪痕が残ったまま。石川・輪島市から車で約1時間、2000人余が暮らす石川・七尾市能登島。鹿児島県出身の高農園・高博子さんは、20代のときに石川県出身の夫・利充さんと出会い、鹿児島から850km離れた能登島で野菜作りを始めた。畑の広さは東京ドーム3個分、農薬を使わない有機野菜300種類以上を育てている。その味と鮮やかな色が人気で全国の星付きレストランやホテルから注文が入る。あの日、能登島では震度6強を観測。農園では崩落や地割れの被害が出た。9月、今度は豪雨が襲い、新芽が出たばかりのカブや大根が流された。状況を知ったふるさとの飲食店が手を差し伸べた。高さんが鹿児島で1人で暮らす父と訪れたことのあるレストラン。農園から野菜を仕入れ、チャリティーランチ会を企画した。売り上げは、高さんや能登の被災者に寄付する計画。先月開かれたチャリティーランチ会では60人の客が被災地を思いながら能登で作られた野菜を味わった。被災地で続ける野菜作り、復興への願いを込めて全国に届けられる。