東京・銀座にある奥野ビルは築90年以上の昭和の名建築。中にはレトロなエレベーターがあり、ドアが手動式。依頼人の藤井栄蔵さんのお店がある。お店には万年筆がズラリ。ヴィンテージ品と限定万年筆を扱っているという。藤井さんのオススメはPILOTの蒔絵万年筆で35万円。MOTBLANCが1992年に発売したヘミングウェイはアーネスト・ヘミングウェイへのオマージュが込められたモデルでお値段は33万円。初心者向けにはPelikan400がオススメで2万8000円。お宝は骨董市で見つけた高杉晋作の古い写真。伊藤博文と高杉の弟子も写っている。45万円で購入したという。依頼品と同じ構図の写真が東京国立博物館と伊藤公資料館に所蔵されている。この写真は日本初の商業写真家の上野彦馬によって慶応元年に撮られたもの。高杉晋作は武器商人のトーマス・グラバーに会うために長崎に滞在していた。その前後に上野彦馬を訪ねたと考えらえる。彦馬は当時コロジオン湿板写真という技法を用いていた。銀板写真の露光時間が30分なのに対し、湿板写真の露光時間は20秒と当時画期的な撮影法だった。さらに、ガラスの原板から鶏卵紙に紙焼きすることができた。鑑定結果は400万円だった。
住所: 山口県光市大字束荷2250-1