東京デフリンピック。選手とともに大会で活躍するのが手話通訳士。聞こえる人と聞こえない人をどうやって繋いでいるのか。その奥深い世界を取材した。先月、都内で行われたデフ選手のトークショー。陸上の金メダリスト・山田真樹選手も舞台に上がった。手話で話す山田選手の言葉を音声に通訳している男性は、プロの手話通訳士・保科隼希さん。今、大会にイベントに引っ張りだこ。デフリンピックでは陸上の日本代表の専属通訳を務める。保科さんが手話を学んだきっかけは祖父母。耳が聞こえず手話で生活している。大学の授業などで手話の勉強を重ね、24歳で手話通訳士の試験に合格。目指したのは「みんなで一緒に笑うための通訳」。スピードに繋がっているのが、歩きながら目についたものや頭に浮かんだものを、次々に指文字で表していく習慣。通訳の仕事に向かう途中など、ウォーミングアップのように取り組んでいるという。今月、茨城県で行われた陸上の記録会。山田選手などチームの通訳として帯同した保科さん。競技の開始は手話で選手に伝える。他にも招集所での通訳や、ミックスゾーンでの取材対応など、大会での役割は多岐にわたる。実は保科さんの手話通訳士として最初の仕事は、山田選手からの依頼だった。その後も親交を深めてきた2人。競技の合間には、何気ないやり取りの中でこそ伝わってくる選手が大切にしているものを、深く理解することが選手の思いを伝える通訳に繋がるという。開幕が迫る東京デフリンピック。保科さんは大会が、社会の中の聞こえない人たちに思いを寄せるきっかけになってほしいと考えている。保科さんは「デフリンピックで手話通訳がどこにいるかにも注目してほしい。大会でどこに手話通訳がついているかを見れば、聞こえない人がどういうところで情報の“見える化”が必要なのかがわかる」と話していた。
