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「借景」 のテレビ露出情報

京都に住む全盲の長尾博さん。生まれつき右目が見えず、小学5年生のときに網膜剥離で左目の視力も失ったという。京都の大学を卒業後、盲学校の教員になり今は関西の大学で健常者の学生などに、視覚障害の支援のあり方について教えている。そんな長尾さんは学生たちと“手で見る旅”に取り組んでいる。長尾さんは手で見る旅のガイドとして視覚を使わない観光の在り方を発信している。この日の特別授業では1人が視覚障害者役の学生、もう1人が案内役として回る。学生たちが持っていたのは触地図。これを使うことで目が見えなくてもその場の地形などを把握することができる。紙粘土を使って特徴的な屋根の形を作る。直接触れないものは触れるものに代える。
長尾さんのガイドに影響を受けて動き出した大阪工業大学の遠藤美希さんは、目が見えない人が景色を手で触ってイメージできる仕掛けを卒業制作で作ろうと考えた。今回遠藤さんが伝えるのは京都市にある「無鄰菴」の景色。遠くの山を庭の一部のように取り入れる借景という造園技法で作られた伝統的な日本庭園。模型を使って伝えられるか。遠藤さんが作った試作品を長尾さんが体験することに。模型は2つ。庭園全体を俯瞰したものと正面から見た景色を紙粘土で表現したもの。遠藤さんはこの2つの模型を触ることで山と庭の位置関係を伝えようと考えた。ところが、遠藤さんからは「山が表現されていない」「正面からの立体図形についても奥行きの表現の難しい」など指摘を受けた。長尾さんの指摘で遠藤さんは「障害の人に手助けになるものをとずっと考えていたのだが、それは違うのかなと。相手に聞きながらコミュニケーションを大切にしながらモノづくりすることが大切かなと思っている」など気づくものがあったという。
約3ヶ月後、卒業展当日。遠藤さんは長尾さんを卒業展に招待した。あの正面から見た景色は木や山をパーツごとに分けて構成。庭園の奥行きを伝えた。長尾さんは「確実に進歩している。これはわかりやすい」などコメント。遠藤さんは「わかるって言っていただいてすごくうれしい」などコメント。ちょっとした工夫と歩み寄ることで開ける未来がある。長尾さんの思いは「工夫するというのは歩み寄るということ。障害者のほうももっとそういう波紋を作っていかないといけない」などコメント。

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