政府は備蓄米の放出を進める方針。背景には米の高騰がありコシヒカリは2022年は平均2288円だったが、先月には4185円まで価格が高騰している。備蓄米とは政府が年に20万tほどを5年ほど蓄えてきた物となっていて、これまで凶作や緊急時にのみ放出されてきたが、新たに流通に支障が出ている場合にも放出できるようにしている。政府は集荷業者に備蓄米を売り渡し、不足分が卸売業者から小売店に販売されるものとなっているが、価格が落ち着いたら1年以内に同僚を買い戻して価格の下落を防ぐのも特徴となっている。専門家の三輪泰史氏はこの方針転換は歴史的なものだと評している。実際に備蓄米放出の議論が表明された先月の段階で堂島コメ平均での価格は1.6%下落していたが、今後は備蓄米が放出されることで3割ほど値下がりすることも予想される。高値を見越して売り惜しみしていた業者がコメを市場に出すことも期待されるという。一方で備蓄米放出は緊急的な措置となっている。南海トラフ地震の臨時情報を受けた買いだめやインバウンド需要の急増も見られる中でグルテンフリー食材としても注目が高まっていて、これまで政府が調整しやすいように生産の目安を付けてきたが、今後は生産制度の見直しを行うことも求められると三輪氏は指摘している。自動運転のトラクターやドローンでの農薬散布などの普及も課題となる。