病院の廊下を両親と手を繋いで歩く男の子は、きのう京都大学が発表した手術により元気に退院できた男の子。その手術とは「世界初 生体ドナーから肺と肝臓を同時移植手術」。去年11月の手術時の様子が流れた。患者は10歳未満の男の子で、全身の臓器の以上などを伴う先天性疾患「先天性角化不全症」で、肺と肝臓の移植が必要だった。そこで医師らは男の子に40代の父親の右肺の一部、母親の左肺の一部、60代の祖父の肝臓の一部を移植。生体ドナーからの同時移植は世界初のこと。4つの手術室で約30人のスタッフが携わり、18時間11分に及んだ手術。手術から3ヶ月半が経過した今月1日、男の子は元気に歩けるほどにまで回復し、無事に自宅へ退院した。家族は「当初はもう打つ手がないものと絶望的な気持ちでしたが、京大病院にも様々なリスクが有る中で、今回の提案をしてくださったことが私たち家族にとっては唯一の希望でした。これまで移植を諦めるしかなく、何もできないもどかしさや絶望感を抱えている患者さんや親族の方の一筋の光になれば嬉しいと考えております。本当にありがとうございました」と綴った。京大病院によると海外では少ないながらも行われているという脳死ドナーからの「肺肝同時移植」だが、国内では脳死ドナーが少ないこともあり肺と肝臓の同時移植手術は行われていないという。そのような中で行われた今回の「生体ドナーからの同時移植」。京大病院は「肺と肝臓の両方に障害がある患者への新しい治療の可能性を広げたという意義は大きい」としている。