熊本県に生まれた百崎蒼生は5歳の時に父を亡くし、母子家庭で育ってきた。蒼生にとって母が買ってくれたグローブは宝物。強い決意を胸に15歳で親元を離れ甲子園春夏合わせて5回優勝の東海大相模へ進学。1年秋からレギュラーの座を掴み、試合では新聞に載るほどの大活躍。厳しい練習をチームメイトにも求めた。甲子園へ、プロに行ってお母さんを楽にさせてあげたいという気持ちが強すぎるため仲間と衝突し、気付けばチームの中で孤立していた。心が追い詰められ、1年生の冬、高校を中退。プロ野球選手になるという夢も途切れた。熊本の実家でただ時間だけが過ぎていた時、中学時代のチームメイト一森くんからの電話。蒼生は一森くんに誘われバッティングセンターへ。無心にバットをを振ってると自然と笑顔がこぼれた。蒼生の運命を変えたバッティングセンターに久しぶりに2人で訪ねた。まだ自分には寄り添ってくれる友がいた。「一緒に野球をやろう」という言葉に蒼生は救われた。そして2年生の春。一森くんの通う高校に転入。甲子園を目標に新しい仲間と新たな一歩を踏み出した。だが、転校した生徒は1年間の公式戦出場停止という高校野球のルールにより、蒼生が甲子園を目指せるのは高校最後の夏。チームのためにサポート役にまわり、人の気持ちを思うことの大切さを学べたという。以前の自分は自分しか見えていなかった。自分のためにではなく、みんなのために。そんな蒼生と接してきた仲間たちの思いは「蒼生のために」。それがチームの合言葉になっていた。そして部員たちから監督に「県大会決勝の舞台をかりて、紅白戦」ができないかという提案が。それは仲間たちから蒼生へのプレゼントだった。実際の映像を紹介した。蒼生はホームランで仲間の思いにこたえた。最後は県大会決勝のリハーサル。彼らの書いたシナリオはサヨナラ勝利で甲子園。今年の夏の甲子園熊本大会決勝5点リードの9回裏、シナリオとは少し違った。サヨナラ勝ちではないことも涙が止まらないことも。東海大星翔高は甲子園出場を決めた。
2023年10月、蒼生はプロ野球選手というもう一つの目標に向かっている。少し遠回りしたけれど、だからこそ出会えた最高の仲間達。ドラフト会議前日、蒼生は「選んでくれるならどこでもいい」と話した。百崎蒼生は阪神から4巡目指名を受けた。岡崎さんはめちゃくちゃ嬉しいですね」とコメントした。百崎蒼生選手にインタビュー。百崎選手は「選ばれた瞬間は何が起こったか分からなかったんですけど、今は本当にホッとして嬉しく思ってます」、一森くんは「中学から一緒に野球してて、一番長くいた仲間なので選ばれて蒼生と同じくらい嬉しいです」と話した。古田さんは「自分一人だけだと諦めちゃうけど、支えてくれる人の気持ちはこれからプロに行っても力になると思います」とコメントした。