去年5月、内密出産を希望する20代女性が病院を訪れた。診察の結果、合併症があることが判明。自然分娩ではリスクがあるため帝王切開手術が行われた。3000gを超える健康な赤ちゃんが産まれた。女性は大学生で遠方にする両親に妊娠を知られたくないと語る。かつて貧血で倒れて救急車で搬送された時に大学の退学を求めるなど過干渉な一面があったという。内密出産に関する国のガイドラインでは、産まれた子どもが自分の出自を知ることができなくなるなどとして医療機関から妊婦に対し内密出産を避けるよう説得することを求めている。しかし病院は事情を抱える女性を説得することの難しさを感じていた。女性は出産から1週間後、子どもを預けたまま退院した。この日、内密出産を希望する妊婦がやって来た。これまで一度も病院を受診しておらず飛び込み出産だった。内密出産の取り組みは事前に複数回の相談や診察を行い十分な検査や支援策を提案する想定だった。内密出産7件のうち飛び込み出産は3件に上った。さらに国のガイドラインに記載がなく対応に悩む事態も起きていた。未成年からの内密出産に関する問い合わせは1年で5件あった。未成年の手術には原則親権者の同意が必要。内密出産を行うと親権者から訴えられるリスクもあり受け入れるかどうか難しい判断を迫られる。
