先週初め、円相場は1ドル=142円台で始まったが、先週末は一時149円台まで値下がりした。1週間でおよそ7円、円安が進んだ。これは8月中旬以来、およそ1か月半ぶりの円安水準に戻った形。その理由について解説。円相場は日米の金利差の影響を大きく受ける。通貨は金利が高いほうが利回りが期待できるため買われやすくなる。日銀は利上げ、米国は利下げをしている。この金利差が縮まれば円が買われやすくなるが、先週2日、石破総理大臣が植田日銀総裁との会談後に「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と発言したことで、市場は早期の利上げは難しくなったと見た。また、米国の要因もある。4日に発表された雇用統計で、就業者の伸びは市場の予想を大きく上回り、米国メディアが“ホームラン”と伝えるほど雇用情勢が良かった。景気を下支えする利下げを急ぐ必要はなく、日米の金利差は縮まらないという見方から、円売りドル買いの動きが出て円安が進んだ。ソニーフィナンシャルグループ・尾河眞樹チーフアナリストは「雇用統計はサプライズだった。実は(雇用が)強かったという話になると、金融政策の見通しもだいぶ市場が変わってくるため、今後の経済指標を丁寧に注目してチェックしていくステージになると思う」とした上で、尾河さんは今週10日に発表される米国の消費者物価指数に注目している。「インフレも下げ止まってきてしまうようだと市場の利下げ観測、今後の利下げ期待が後退し、またドル高が進む要因になるので、注目度は高くなると思う」と述べた。