2025年1月、北海道・浦河町。ここは馬と人との暮らしが息づく町。寒空の下、お正月も厩舎作業に勤しむ若者たちの姿があった。彼らと出会ったのは去年の春。世界に通じるサラブレッドとホースマンを育てるため、JRAが設立したBTC・軽種馬育成調教センター。彼らは馬の仕事に憧れてやって来たBTC研修生。1年間寮生活を送りながら、サラブレッドの知識と騎乗技術を学んでいる。島根県出身の小玉つきさん。高校を卒業し1人やって来た。中学生の時に新聞で見た競走馬の記事で競馬に少しずつ興味を持ち始めたという。馬に触るのも乗るのも初めて。運動経験もないが、大好きな馬と仕事をしたい、その一心で研修に励んでいる。福井県出身の小林嶺さんも馬に魅了された1人。JRAの騎手課程を受験も一次で駄目だったが、騎手になれなくても馬の業界に就きたいとの思いが膨れ上がっていたという。壁にぶつかっては少しずつ乗り越えていく。朝5時から日没まで馬漬けの日々を送っていた彼ら。卒業後を見据え、それぞれ進路を考え始めていた。地元に戻らず北海道の牧場で働くことを決めた。海外研修に手を上げたのは北海道富良野市出身の木原瑞季さん。彼も未経験でここに来た。海外研修とはヨーロッパの競馬学校などに3か月間留学し、高度で最新の知識や技術を学ぶことができる制度。成績が優秀であることとBTC教官の推薦が必要。木原さんは日本と海外の調教の違いを実際に現地に行って知るのが一番の目的だという。